第3章 ちょっと冷静になってみよう*
「ピーピー喚くな。
愛の手当を終えたら
すぐに行ってやるから。」
管理人が耳を塞ぎながら言う。
その言葉に、暁は目を輝かせた。
一気に顔色が明るくなる。
「本当に!?
すぐに戻ってくる!!?
じゃあ俺ゆっくり歩いてる!」
「いや、走って帰れ。」
管理人がそう言い終わる前に、
暁は白石を連れて教室を出て行った。
私と管理人だけが残される。
「行っちゃいましたね。」
静かに呟くと、
管理人が大きく溜息をついた。
耳を塞いでいた手を離し、
机に置いていた鞄を持つ。
「もう馬鹿は懲り懲りだ。
…行くぞ。」
一言そう放つと、
私に背中を向けて歩き出した。
「ま、待ってください!!」
私は、自分も鞄を背負い、
急いで管理人の後を追った。