第3章 ちょっと冷静になってみよう*
「皆さんいつも
一緒に帰っているんですか?」
白石が「まあな」と頷く。
一方の暁は、管理人の隣に
ベタっとくっついていた。
「…離れろ。」
「一緒に帰ろ~!」
本当に暁は管理人が好きだなぁ。
そう思いながら二人を
見つめていると、白石が横から
「いつもこんな調子だ。」
と囁いてきた。
口元を見ると、笑っているのがわかる。
確かに、この二人を見るのも
面白いかも知れない。
無意識に、私も口角を上げていた。
「邪魔だ。暑い。
それに一緒に帰らない。」
管理人の冷たい一言に、
暁が残念そうな顔をした。
「なっ、なんでぇ~!!?」
「保健室に寄る。
お前と帰るより
愛の膝の方が大事だ。
さあ、わかったら白石と
仲良く先に帰っていろ。」
そうだった。
管理人に、保健室に寄ると
言われたのだった。
すっかり忘れていた私は、
ああ!と目を見開いた。
「うわぁ~!!
じゃあ俺も保健室寄るぅ~!!!」
暁はまだ
あきらめが足らないらしい。
「暁さんが来ても…大丈夫ですよ?」
そんな彼に、
私は言った。
「ほら!愛ちゃんも
ああ言ってることだし…っ!!」
「…っそう言いながら
押してくるなっ力はお前の方が
圧倒的に上なんだからな…っ」
「あーらら。」
二人がすごくいがみ合っている。
なにかまずいことを言ってしまっただろうか。
「あ…あはは…」
焦った私の口からは、
そんな乾いた笑い声しか出なかった。