第2章 おかしなクラス*
管理人がひとつ咳払いをする。
そして、バラッとページをめくった。
今気づいたが、
その前触れが癖なのだろうか。
まわりの皆も、
少し面白そうに見ていた。
「じゃあ…まず男の方。」
「うぃっす。」
男の子の方が
返事をした。
「彼は
加藤 カケル(かとう かける)
成績はまあ中の下ぐらい。」
「成績はダメダメだもんね、」
隣の女の子が、
あざ笑うように言った。
「ああ!!?なんだって!?」
カケルがその挑発に乗る。
女の子は、ふんっ、とそっぽを向く。
その行動も
彼のカンに触ったようだ。
苛立ちが丸見えの状態で
歯を食いしばっていた。
「おい。」
響いた管理人の低い声に、
二人は肩を同時に震わせて静まる。
管理人は
何事もなかったように
ファイルをめくった。
「凄いですね…管理人さん。」
「あの人は皆のお母さんみたいだからね。」
白石が楽しそうに微笑む。
確かに、先程叱られているときも
母親に叱られているようだった。
すごく、温かい懐かしさ。
私も、それを思い出して
クスリっと笑ってしまった。
「どうした。」
管理人が首を傾げる。
「!!なんでもねぇよ!!」
「そう!!なんでもないですよ!!」
…「そうか。」と
管理人は納得したようだ。
再度、ファイルを見つめて
紹介をスタートする。
あ、危なかった。
私はまた、静かに微笑んだ。