第2章 おかしなクラス*
「どうしてだろう…。」
考える私に、
白石は静かに囁いた。
「俺が思うにねぇ。
暁と管理人の間には、
誰にも入れない深い絆があるんだよ。」
「…絆?」
白石が頷いた。
「普段はいっつも
変態としつけ役みたいな感じだけど、
いざとなるとすごいんだよ。
この前ちょっと言えないけど、
ある事件があったんだ。」
「ほう…。」
私は、白石の話に
釘付けになってしまっていた。
管理人と暁。
ふたりにはどんな物語があるのだろう。
「それで
管理人が危ない目にあってね、
俺も手が出せない状態だったんだ。
管理人には、俺も
色々世話になったし、
助けたい気持ちが山ほどあったんだよ。
だけど…、ね。」
「…。」
「その時、暁が
まるで鬼みたいに血相変えて
管理人を助けに行っちゃったんだよ。
三分経ったら管理人
担いで戻ってくるわ、よう
やったもんだよねぇ。」
「まあ、勿論俺らも
管理人をすごく尊敬している。
だけど、暁の場合は
そんなに単純じゃないらしいんだ。
あいつが管理人を慕う気持ちの
根底には、他人には分かり得ない
特別な感情がある。」
私は白石を見つめた。
…特別な感情。
「それが絆、ですか?」
「ああ、友情や愛情というより、
感謝や尊敬に近い感情から
始まっているんだと思うぜ。
それほどまでに
管理人が心を開く相手だってことさ。」
「へぇ…。」
なんだか、とても
大事な話を聞いたと感じる。
まだ管理人の名前は
分からないが、
暁が知れたように、
私も彼を知れる日が来るのだろうか。