第1章 素敵なクラスとご対面*
門をひっそりと通ると、
すぐに校舎内へ繋がる通路が見えた。
少年は、私の方を
チラチラと定期的に振り返りながら、
足を進めていく。
「危なくないか。」
「…あ、はい、平気です!」
そんな気遣いが、
自分にはとても嬉しかった。
昇降口を入り、
下駄箱を通り過ぎると、
左右に通路がのびている。
校内は別に汚くはなく、
アンティーク系の柱も時々見えて、
すごく落ち着きやすい見た目だった。
「…校舎内は至って綺麗だろう。」
少年は言う。
私はすぐに、「そうですね」と返した。
「でも、三階の左通路側にある
手洗い場には近寄ってはいけないよ。」
「?」
「…お化けがでる。」
「ええっ!!?」
びっくりした私を見て、
少年は笑った。
も、もしかして嘘だったのか…?
「…嘘だ。」
「な、なんなんですか!もう!!」
彼は私の反応に満足したのか、
「ククッ」と噛み殺したように笑った。
付き合いにくそうだと思ったが
そうでもなさそうだ。
(むしろ…なんかすごく楽しい。)
彼の後姿を追いかけながら、
私はすごくこの時間を楽しんでいた。