第3章 E組へ
声のする方を恐る恐る振り返ると、スーツの上着を脱いでいる叔父さんが驚いた顔をして立っていた。
「烏間さん。その、この子は烏間さんの…………息子さん?」
「あ、いや。甥だ。訳あってうちに預かっている。」
「あ、そうなんですか。」
俺は二人の会話が耳に入らなかった。叔父さんの問にも答えれず、動転していた。叔父さんは女の人を部屋から追い出し、代わりに女の人が座っていた椅子に座る。
「お前、B組から落ちたのか?」
「…………………………ごめんなさい」
溜息をつく叔父さんに涙が出そうになる。頭の中には失望された、追い出されるということしかなかった。
「………できればお前を巻き込みたくはなかったんだがな」
だけど叔父さんから出た言葉は意外なものだった。
「聞いただろ?あのタコを暗殺しなければ地球がなくなる。お前には暗殺は向かないから少し心配だが、まあ頑張れよ」
頭をぽんっと叩いてくれる叔父さん。
「……………怒らないの?」
「落ちたことか?まあ、人生山あり谷ありだ。そんなこともある。気にするな。これから頑張っていけばいい」
「……………うん」
よかった。追い出されなかった。すると涙が止まらなかった。
「なんでお前は泣いてるんだ!?」
「…………なん…………でもな………い」
涙が止めようとするのに、泣きたくないのに止まらなかった。
「泣くな男だろ。」
そう言って小さい時のように抱きしめてくれる叔父さん。顔が熱くなるのが分かった。いつまでそうしてただろうか。ふと何か音がした。
「こ、これは先生見てはいけないものを見てしまいました!愛のハグ!先生と生徒の禁断の恋ですねヌルフフフ!!」
あの宇宙人の先生だった。
「こいつは俺の甥だ。」
叔父さんが溜息をつきながら離れる。
「なるほど甥っ子さんですか………ん?甥!?!?」
何故か先生、驚いた顔。
「…………こいつは男だ」
「……あ、烏間友喜です。よろしくお願いします先生。」
「にゅ・・・・・ニュややや。男だったとは。これはこれは失礼しました。では、友喜くん。教室へと行きましょうか。」
この先生が差し出した触手を掴み、教室へと向かった。