第7章 ユウガタのウサギ
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「…話ってのは、何だ?」
倉庫の奥の個室に案内されて、中に入ると少し高価そうなソファに腰掛けた。
目の前に座った男にふふっと笑いかけると相手は眉にしわを寄せた。
『いやぁ。話っていうのはね、随分前の話なんだけど。』
「内容によっては、すぐに射殺だが」
私のすぐ後ろにいる男たちは、私に向けて銃を構えている。
こえーよーと鼻で笑って脚を組んだ。
『……5年前、2人の男女が暗殺された。
Red feather(赤い羽根)という暗殺グループの手によってね』
「……」
『聞いたこと、あるよね?
Red featherは優れた暗殺者チーム。男女2人ずつで、リーダー格の男はチームから絶大な信頼を得てる。』
「何が目的だ」
『まぁまぁ。話を聞いてよ。
でね、そのチームの1人がRed featherから脱退したの。』
今はどこにいると思う?、とおちゃらけた様に笑う。
『………春雨だよ。春雨幹部の補佐』
「「「!!」」」
周りにいる奴らも一斉に顔色が変わった。ただ、目の前の男だけ平然としている。
「…ああ。あいつは直々に脱退すると言ってきた。ただチームの奴らは納得出来ていなかったようだが」
『ま。そのおかげで、この前あんた達の仲間が1人、独断で春雨に潜り込んできた。』
「……」
『彼女、凄かったんだよ。春雨の奴らにどれほど拷問を受けても組織のこと吐こうとはしなかった。…だから、』
_殺したんだ。
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春雨内では、サクラと神威を連れ戻すため、游隣と阿伏兎、それと第7師団から数名の団員が地球行きの小型機に乗っていた。
阿伏兎は包み隠さず、小型機内の全員にサクラの事情を話し、できるだけ早く事を終わらせるよう説明した。
「…幹部は組織の会議に向かったとしたら、港付近の仮設倉庫から潰した方が良いかと。」
「わかった游隣。地球からの案内は頼む」
「はい」
相手は暗殺の常習犯、手を抜かず本気で挑め。と阿伏兎は呟いた。