第7章 ユウガタのウサギ
一気に場が騒がしくなり、隣にいる人すら信じられなくなってゆく。
皆銃を構えて、四方八方に向けるが、誰が敵なのか分かっていないため焦りだす。
「お前じゃねーのかよ!?」
「疑われてたまるか!」
「そういうお前はどうなんだ!」
完全に仲間割れとやらだ。先ほどまでの団結力はどこにいったのか…
チャキ…
「動くな」
『!』
後頭部にずっしりとした拳銃の重み。どうやらモデルガンではなさそうだ。
隊長格の1人が無表情で私に銃を向けている。
その瞬間、場が静まりかえって皆一斉に銃を私の方へ向けた。
ははっと軽く笑って、背に隠してある番傘の位置を確認した。
『あれま。この大人数のなかバレないと思ったんだけど』
「とぼけるな。1人だけ余裕の表情だったぞ」
『ふふん♪……神威と私の暗殺の件は見逃してあげる。まぁ、正面からでもどっちでも勝つしね。いつでも春雨においでよ』
「……」
『だけど、私が来たのは別の件』
後ろを向いてガシッと銃口を掴んだ。
『ちょっとお話しない?』
★☆★☆★☆
神威を乗せた小型機は、地球のターミナルへと到着した。
ゆっくりと開く扉に待ちきれず自ら壊した事は忘れよう。後で阿伏兎に怒られるかもしれないが。
「あれもこれもサクラが悪いんだから」
地球は太陽が見える星だから、神威は傘をさして街を歩き出した。
途中、団子屋に目が行きそうだったが目指すはそこじゃない。
もう人々が働き出す時間帯だからか、なかなか人口密度が高いので進みずらいがそれでも歩くスピードは変わらず進む。
港付近の仮設倉庫へ。