第8章 烙陽決戦篇
敵の船をすべて迎え撃ち、南天楼を破壊する寸前だった。
しかし、鬼兵隊と第七師団はただ春雨の罠に陥っていた。
容赦なく降り注ぐ電光が船を壊してゆく。
第七師団は敵の旗艦へ突っ込み突撃した。
「以前の春雨だったら、拠点を一つ吹き飛ばすような戦い方はしなかった。利害を度外視して俺達を潰しにかかってる」
ここまでの覚悟がある奴は誰なのか、それを知るため神威と阿伏兎は第七師団が殺られた後を見渡した。
「春雨(やつら)、一体誰と手を組んだ」
「……夜兎相手にこんなふざけたマネが出来る奴は、宇宙に2人しかいないよ
俺達親子さ」
*
「元老のみなさんは、不幸な事故により、命を絶えました。これで12師団を縛るものは何も無い。あとはお好きになりなさい」
宇宙に浮かぶ天導衆の拠点に、十二師団全団長が円に並べられている席へと腰掛けていた。
虚のおかげにより、元老院全員の姿を消し、宇宙のチリになったことは、暗黙の了解だった。
「虚様、我々は今さら自由など求めませぬ。我々は今まで元老院と提督神威の間で、散々翻弄されてきました」
『…』
「春雨が求めるのは自由ではなく統制。我々を導く指導者です」
『……ッチ』
「元より閣下と共に元老院と神威を討つと決めたときから、春雨の名を捨てる覚悟はしております」
『はっ。名を捨てる覚悟…ねェ。易々と言えたもんだ、獅嶺。私と知り合った時とは変わり果てて、今は地球産も驚くバカライオンだね』
「ふん。幹部も今に分かるだろう。春雨のトップが消えたのだからな」
『うるさいな。上司には敬語使えよゴミライオン』
「やれやれ、仮にも海賊ともあろう者が、統制?指導者? お前さんら、それでも宇宙海賊か」
「「「うっ、星海坊主!!」」」
『おーようこそーいらっしゃいませー』
星海坊主が現れたことによって、場の空気は一変し、虚と星海坊主の言い合いになった。
神威を先にしとめるのは俺だと、星海坊主は宣言した。