第7章 ユウガタのウサギ
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ある意味精神をズタボロにされつつ向かった先は神威に言った通り港付近にある仮設倉庫。
『…普通に綺麗な倉庫みたいだけど』
もっとこう、古びた感じでいかにも悪者いまっせー!?という雰囲気が欲しかった。いや、やっぱいらん。
中に入りたいけど、入り口で見張りがいるし、迂闊に動けない。さてどーするかね。
強行突破?いやいや無理がある。
『………ん?』
*
仮設倉庫の中には、総勢50人弱が2人の男に頭を下げていた。さらにその1人は相手のグラスに酒を注いだ。
男は、カラン、とグラスの氷を揺らし、一言二言、男が皆に今後の計画だろうか、伝えてゆく。
「春雨提督神威、その幹部サクラ…」
この2人を暗殺するためにこの大人数を呼び込んだ。
必ず成功させる。そう意気込んで…「ギャァァア!!」
ガシャァァアアン!!
天井に下げられていた蛍光灯が切れて落ちてゆく。
途端に倉庫内は真っ暗になってしまった。
外はもう明るいが、窓も扉も締め切っているこの場所は宇宙と同じくらい暗い。
「……」
「どうした!?」
「侵入者です!!」
「何者かがこの場の電気を全て落としたかと!」
「焦るな!灯りをつけろ!!」
部下達が次々に自信のライターの明かりを灯す。
私はガシャンと番傘を持ち構えた。
『……ビンゴ♪』
ガウンッ!
1発、銃声の音が聞こえたと思ったら連射の音。
ガウンッガウンッガウンッ
「…灯りを消せ」
「…はいっ!オイ!灯りを消せ!!狙われてるぞ!」
隊長格の2人のうち1人がそう叫ぶと、皆が火を消してゆく。
私は舌打ちをすると、倉庫内の明かりがパッとついた。
もうすでに三分の一は殺られていた。
皆は一斉に拳銃を構え、辺りを見渡した。
が、誰も見当たらない。
「探せェェ!」
「……」
荷物の裏やら天井やら探すが人っ子ひとりいない。
それどころか、気がつくと殺られてる人数が増えている。
「おかしいな、いつの間に…」
「………なるほどな。」
「どういうことですか…?」
「…仲間の中に紛れてやがる。」