第7章 ユウガタのウサギ
『人数が少ない、わけもないしね。できるだけ早く帰るよ。
阿伏兎、救急箱用意しててね〜私医務室行けないし!』
《……》
『? 本当にどったの阿伏兎。風邪でもひいて声出ないの?』
《……》
『あ、もしかして近くに神威がいるとか?それなら仕方ない!』
《俺にそんなに教えたくないんだ?なら、じっくり教えてもらうよ》
『…………ファッ!?!!?!?』
《港付近の仮設倉庫だね?あと少しで着くから待っててよ》
『えっえっちょっ、何で、神威、が…っ』
全身から冷や汗が出て、ガクガクと震え、顔は真っ青になった。
クラッとしてすぐ側の電柱に体を傾ける。
《阿伏兎じゃなくて残念だったね。お前も阿伏兎も、帰ったらどうなるか…分かってるよね。俺に黙ってたんだから》
『っっっすんませんっしたァァァ!!!』
ブチッ
プー、プー…
『……ヤッベェ……どうしよう泣きそう』
★☆★☆★☆
ガラガラ
「おはようございまーす」
新八は万事屋にいつも通り、出勤してきた。
銀時と神楽は未だに爆睡中。そんな姿を見てため息がついたが…
「…あれ?サクラさんは?」
銀時の隣に綺麗に畳まれた布団。
その上に一枚の紙切れ。
新八はその紙切れを見て絶句した。
「銀さん!!神楽ちゃん!!」
「んあ?何だよ朝からうるせェなダメガネ」
「睡眠の妨げはよくないヨ。童貞」
「関係ない悪口聞こえたんですけどォォ!
っじゃなくて、コレ!見てください!!」
2人を無理やり叩き起こして、紙切れを見せる。
《万事屋の3人へ。
皆が起きる前に私は春雨へ帰ろうと思いまーす!
本当は昨日の夜に言っちゃえば良かったんだけど、切り出せなくて!(笑)
短い間だったけど、楽しかった!地球ってやっぱりいい所!機会があればまた地球に来るよ!その時はまたお邪魔させてもらうかも??なんてね。
あ!お礼と言ってはなんですが…、来月分の家賃、もう払っておきました!これで銀さん、新八くんと神楽ちゃんに給料渡してあげなよ〜(笑)
ではでは。また逢う日まで、さようなら。
サクラ
PS.
もし、春雨団員が訪れたら、サクラはすぐ帰宅しますって言っておいてくれる?》