第7章 ユウガタのウサギ
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3日後、皆が目覚め始める数時間前、神威と阿伏兎は廊下を歩いていた。
歩くスピードは速く、向かっている場所は…
「おい団長!あんたは書類が残って…」
「任せたよ阿伏兎」
「任せるな!」
ガシャン、と小型機の扉が開いた。
それに神威は乗り込む。
行き先は、そう地球。
「…あ、それとコレ、借りて行くから」
「!俺のタブレットじゃねェか」
阿伏兎はしまった、と思ったがもう遅く、神威を乗せた小型機は出発してしまった。
30分程で到着するだろう。だがそれでも神威には遅すぎるくらいだった。
そんな気分になるのも、全部サクラの所為。
なぜかその心のモヤモヤは昨日の夜から消えてくれなかったのだ。
ならば会いに行けばいい。
「サクラは地球より、春雨(ここ)がお似合いだ」
神威は阿伏兎からパクったタブレットを使い、サクラの名前を探した。
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朝日のせいで目が覚めて、むくりと身体を起こした。
1つ欠伸をして、布団をたたむ。
自分なりにはよく寝たと思う。ゲームしてないしね!
アキラ様恋しいわ!!
『何でゲーム機持ってきたのに充電器忘れてきたんだろ…つくづくバカだな私…』
地球に向かうまでゲームをしていて、充電器〜とポケットから探すが見当たらず、結局電源が落ちた。あの時は泣いた。セーブしてなかったのに…
私は神威に貰った私服を着て、万事屋を後にした。
まだ朝方だからか、歌舞伎町には人は少なく、シンとしていた。
マントを肩にかけ直していると、懐から音楽が鳴り始めた。
『もしもしー何か用?
昨日電話したとこでしょ〜』
《…》
『そんなに電話かけなくてももう寂しくないよ!…あり?聞いてる阿伏兎〜?』
《…に…ん…だね》
『は?何て?聞こえない!
あ、そうだ!奴らの情報が掴めたんだ!だから今から向かおうと思っててね』
《どこ…ん…い》
『だから聞こえないって!
でね、月一で奴らが集まる場所を特定できたんだ。そこに乗り込んで片付けるつもり!』
《…》
『港付近にある大きな仮設倉庫って言ってたからそこ行ってみる!
それと、何度も言うけど、神威には絶対言わないでよ!私が……
親の仇をうつってこと』