第7章 ユウガタのウサギ
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調べてみると、驚くことにサクラは春雨への通信と自身のGPS機能を全て途絶えていたのだ。
その事を知って神威は少し焦りが見える行動をとっていた。
「バカは変なとこ賢いねェ。おじさん参っちまう」
「阿伏兎、他に手はないの」
「いんや、ない事もないんだが…」
「手段は選ばないよ。連れ戻せるのなら」
「…ったく、何でこーなっちまったかな」
阿伏兎はそう言って提督室を出て行った。
神威はその後を追わず、反対方向に歩き出した。
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「今日はすき焼きにするアルヨ!」
私がこの万事屋さんにお邪魔することに決定した瞬間、神楽ちゃんはそう言った。
初めは反対していた銀さんも、しぶしぶOKを出してくれて、新八くんと神楽ちゃんはスーパーへと買い物に出かけてしまった。
「…で、」
『?』
ソファでジャンプを読みながら寝そべっていた銀さんは、目線を私に合わせた。
「何が目的だ。春雨の奴が観光目的ですーって万事屋に潜入ですかコノヤロー」
『……』
「オイオイ 黙ってちゃわかんねェよ」
『………ハァ〜〜〜 ですよねェ疑っちゃうよねェ』
「どういう事だよ」
『毎日毎日毎日〜春雨の船の中♪YO!飽きる!今まで我慢してたけどォ!DO!飽きるんだよ!夜兎でも!イェー!
そりゃ任務で他の星行ってる行ってる行ってるYO!行ってるけど、DO!気づいた時には焼け野原!イェーイェー!そんなの何の意味もない!NO!』
「何でラップ口調!?」
『え?だって銀さんはJOYなんでしょ「攘夷だからァァァ」』
銀さんはジャンプをテーブルにドンと置いて体制を直した。
「んで?いつまでいる気だよ地球に」
『…うーん。3、4日いれたら上出来かな。私の予想はあと半日…』
「は?」
『私ね、無断でここに来たからさ。多分、游燐あたりがカンカンじゃないかな…あー…怖っ』
PLLL…
『お、私だ……』
液晶パネルから映し出される顔見知りの名前。
音は鳴りっぱなしで、電話に出ない私に首を傾げる銀さん。
「出なくていいのかよ」
『え?あっあぁ…うん、大丈夫!』
私は応答、とは反対のボタンを押した。
……ごめんね。神威
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