第6章 将軍暗殺篇
『あ〜あ。元老院まで呼応させちゃったか。どするー?阿伏兎』
「団長 どうにも俺達ゃオイタが過ぎたらしい」
『こんな時に神威に話しかけるなんて、ほんと阿伏兎は物好きだね〜
ま、そんな奴を隣にして拒まない私も私か!』
ふふんと笑いながら、傘を後ろに振り回した。
周りを見ると残った第7師団が同じように戦っていた。
人数は負けちゃうけど、戦力はこっちの方が上だねェ
船に帰ったら新しいゲームソフトを買ってもらお!
そう思いながら目の前の敵を蹴り飛ばした。
*
二週間後
傷だらけだった団員の回復力は尋常ではないので、皆すっかり元に戻った。
春雨の船の中で神威は外の景色を眺めていた。星しか見えないのに。
神威の後方に第7師団が集まる。
そこで阿伏兎が口を開いた。
「元老院(ジジ)どもが俺達を裏切った。」
『もともと、元老院(うえ)は天導衆と繋がってたんだって。鬼兵隊と一緒に好き勝手やる私達を片付ける機会を待ってたんだろうけど』
「もう俺達は春雨じゃねェ それどころか春雨(やつら)に狙われる身になっちまったってワケさ」
「順調じゃないか」
『「は?」』
「これでまた海賊王に一歩近づいた。
だって、宇宙最強を目指すなら、宇宙中を敵に回してまとめてぶっ倒すのが早いじゃん」
『そういう問題じゃないんだけど!馬鹿なの?』
「いずれ皆殺しにするつもりだったんだ。一つにまとまってやりやすくなったろ」
「高杉達に借りを返すのは結構だ!だがこのままじゃ共倒れだ!」
阿伏兎の言葉を聞いて、神威はクスッと笑った。
「こんなんじゃ倒れないよ。俺もシンスケも。あの泣き虫だって立ち上がってきた。何度倒れても…
なら、俺もこんな所で倒れられない。
何故なら お兄ちゃんだから」
こうして第7師団の船は進んでゆく。
*
私は自室で、1枚の紙を見ていた。
『徳川茂々暗殺……春雨幹部様、合流を求む』
片手でその紙をぐしゃぐしゃにし、ゴミ箱に投げ捨てた。
『ふん…第___師団、ね』
小さな独り言は誰にも聞こえなかった。
【将軍暗殺篇 END】