第3章 吉原炎上篇
吉原の天井を支える大きなパイプ、その上にはお目当ての子ども、その他銀髪の男の人や多数が今に吉原を抜け出そうとしていた。多分。
でも、そうはさせない。
鳳仙の旦那に手土産を。その子どもを地上へ逃がしてしまったら、捜すのが一苦労。
晴太って子ども。昔、鳳仙の旦那が取り逃がした男の子…らしい。
「サクラは子どもを頼むよ」
『え、一番遠くにいるじゃん。まっすぐ進んだら百華の頭とぶつかるねぇ。…んー。下から行くよ』
皆が阿伏兎に気を惹かれてる間に、パイプの中に入った。
上では、ズガガガガッ!っとクナイとクナイが取っ組み合う音。
『さては阿伏兎と百華の頭がイチャコラしてんな〜。百華の頭はちょっと興味あったのに。阿伏兎のやつめ…』
ガシャンッ
弾を詰めた番傘を構える。
『さて、私には誰が相手かな?』
ズドドドドッッ!!
『よいっしょー!』
掛け声と共に、番傘を上にあげ、大きなパイプに穴をあける。
あ、人の感触…!
上げた番傘は銀髪の男の腹を突いていて、そのまま持ち上げた。
「銀ちゃんん!!」
誰かの呼び声を耳に、外に出てみると、少し離れた場所で倒れている銀髪の男の人。
『あーー…ごめんね〜。人いないと思ってたわ。予期せぬ出来事ってことで〜』
番傘をフォルダーに直して、銀髪の男の人にごめんねポーズをした。
「「夜兎が…二人!?」」
ケラケラと笑っていたら、目の前に目的の晴太って男の子がいた。
『君、晴太くん?だよね。はい捕まえた〜♪』
彼の両腕を掴んで、はいバンザーイ!←
焦りの表情が見える晴太くん、可愛いけど脚痛いからバタバタしないでおくれ…。そこは弁慶の泣き所…
「晴太ァァァ!!」
一人の花魁?が、私に向かって走ってきた。
可愛い女の子が花魁なんて可哀想だねぇ。
…あ、空から誰か降ってきた。出た、ミイラ男。神威。
「邪魔だ。どいてくれよ」
女の子も神威に気づいて、一瞬動きが止まる。
「言ったはずだ。弱い奴に、用はないって」
そう言って、神威は女の子を番傘で叩き潰した。
パイプもその強さに負け、私達がいた一部が崩れ落ちた。