第6章 将軍暗殺篇
こうして春雨の船へと戻った私達。
大怪我をした神威はすぐに医務室に運ばれ、その間に作戦会議的なものが行われていた。
『え?じゃあ神威はあの落ちた船の探索に行くの?』
「ああ あんな身体で行けるわけねェからな。その間に俺達は伊賀の不知火(しらぬい)に出発ってわけだ」
『不知火?』
「忍の神、摩利支天が護る忍の隠れ里さ」
『ヘェ。その事を神威は?』
「知らねェ」
『でしょうな』
「団長に気づかれねェように頼むぜサクラ」
『アイアイ。任してよ副団長。神威の傍にいたらろくな事ないんだから、今回は阿伏兎に付いていくわ』
無事に治療し、完全には治っていない姿の神威が戻ってきた頃に船はまた進行した。
陸に沈んだ船の探査、とだけ神威に伝え、到着したら神威はすぐに降りていった。
神威は船に目もくれず、あの男の探索に必死だった。他の団員もチラホラいるから、今から出発する私達には気づきもしなかった。
『あれ。あの船は春雨の本艦じゃん。神威いないのに誰が乗ってんの?』
「鬼兵隊総督、高杉晋助だ」
『まじか、あの人もろくな事ないからな…』
私達の船より一際大きい春雨の艦隊が中心に、それを囲むように私達の小型艦が進んでいた。
すると、モニターに着信音が流れた。
その音を聞いたとたん、阿伏兎と私は操作員が座る椅子の後に隠れた。
団長がモニターに映るようスイッチを押すと、大画面で神威の顔が映った。
«もしもーし 阿伏兎、今どこにいる?»
阿伏兎は団長に気づかれぬよう、ほかの団員に黙っとけと念で教えた。
「ふ…副団長なら、今トイレだ!相当長丁場になりそうなんだが!」
«あっそう、3秒以内に戻ってこなかったら減給って言っといて»
「よォ 団長。今済んだトコだ。ビックリする位キレが良かった。ふかないでもイケた」
『(阿伏兎のやつ…!)』
«人が船降りてる間にどこ行っちゃったんだよ。全然見当たらないんだけど»
「いやこっちも捜してるんだが全然見当たらなくてな」
«俺がいない間に面白いこととかやってないよね»
「やってないやってない」
«シンスケと一緒に伊賀とか行ってないよね»
「いってないいってない」
『(その通りすぎて怖いわ神威)』