第6章 将軍暗殺篇
将軍の首を阿伏兎に差し出した。
「大した自信だな」
「ああ、検分してくれて構わねェ。間違いなく将軍徳川茂々の首だ。」
『元御庭番のこの人が言うなら合ってんじゃない?阿伏兎』
「んにゃ。元御庭番だからこそ聞いてんのさ。本当に元主君を殺れたんだろうな」
「…将軍の務めとは民と国を護ること。そう言ったのは将軍(やつ)さ…。
その首一つで無駄な戦争が止められんなら本望だろう」
それを聞いた師団に囲まれた男の方が口を開いた。
「そいつが忍(てめェ)の務めだとでも、無駄な戦争?主君と御庭番(なかま)と共に戦いもしねェで、結局何一つ護れなかった奴がぬかすじゃねェか」
「………全部隊に伝えな。バカ騒ぎはシメーだ仕事は終わった。
それから、仕事はスマートにこなすもんだってな」
「待ちやがれェ!!」
服部全蔵は阿伏兎に将軍の首を押し付けると、この船から颯爽と逃げた。
その後すぐに起こる2度目の爆発。
先程よりも大きく激しいもので、あの男と私達との境目で、真っ二つに別れてしまった。
「そろそろか。ゆくぞ」
「奴は?」
「捨ておけ。もう戦う理由さえ失くした連中だ。このまま船と沈むのが運命だ」
男に背を向け自分の艦隊に戻っていく師団達。
阿伏兎も一歩進んだ時だった。
神威は背に刺さっていたパイプを引っこ抜いたのだ。
「オイ…団長?」
爆発の煙から出てきたのは刀。
阿伏兎の隣スレスレで壁に刺さったのを見て、ため息をついた。
神威も男に向かってパイプを投げ、こちらと同じように顔横スレスレで壁に刺さっていた。
「やれやれ…」
『あっはっは!あっちもこっちも、まだ殺る気満々の顔だね』
神威は境目ギリで男を見届けていた。
「戦う理由なんざ、てめェで決める。
地球には弔い合戦ってもんがある事、覚えときな。悪党」
「ああ 覚えとくよ。おまわりさん」
そう言って男の顔は見えなくなっていった。