第6章 将軍暗殺篇
二人が衝突する直前、
私は素早く走り出し姫様へ手を伸ばすと自分の腕の中へ隠した。
少し二人の間が出来ると、姫様を解放し艦内へ連れていく。
「えっえっ!?」
姫様は敵に助けられた事に混乱して言葉が詰まっていた。
『怖い思いをさせて申し訳ない。少しばかり過激な争いになる模様なので姫様は避難を、と』
「でっでも!沖田さんは…!」
『落ち着いて下さい姫様、彼を心配する気持ちは分かりますが、あの二人を止めれるとお思いで?』
「…それはっ」
『今は、彼の帰りを待ってみては?姫様をも護れる護衛です。強いに決まってます』
「………っ」
『そう簡単にやられませんよ。大丈夫です。彼も、将軍様も。』
「え?何で兄上様のこと…」
『さて、姫様!私は綺麗事を並べても貴女方の敵!
悪党はさっさと退散いたします故、事が収まり次第、執事でも誰でも保護してもらってください!』
「ちょ…待って!あなたは一体…!」
『名もない悪党、ですよ。お姫様?』
姫様の唇に人差し指をツン、と当て、背を向けた。
『(めちゃくちゃキマったんじゃね!?もう名探偵コナ〇の中にいるキザな怪盗のように鮮やか!!!私イケメン!)』
私が艦内から出るとき、姫様がマントを掴むスレスレだった。
外に出てみると、神威があと一歩というところまで男を追い詰めていた。
『おーい!神威!』
できるだけ二人に近づいてみたけれど、全然聞こえていないみたいだ。
『ここの船、ボロいからすぐ壊れると思う……うおっ!?』
ガコンと大きく船は揺れ、その後すぐに大きな爆発が目の前で起こった。
地響きまでくるから、この船はもう時期真っ二つになると思われる。うん。
近くの柱に捕まっていると、後ろから阿伏兎が近づいてきた。
阿伏兎の背には第七師団の団員が付いていた。