第6章 将軍暗殺篇
窓の外をチラッと見たら、地球は夜だった。
月明かりが綺麗だ。
「じゃあ阿伏兎行ってくるね」
「へーへー。行ってらっしゃいませってか」
『阿伏兎、今なら私とポジションチェンジできるけどどうですか』
「結構だ」
半ば強引に神威と春雨を後にすると、少し歩いた場所に高杉が待っていた。
『うわ、高杉いるよ』
「やぁ、言ったとおりにサクラも連れてきたよ」
「まさか本当に来るなんてな…」
『え、じゃあ、もしかして私来なくて良かったんじゃね?』
帰るわ、と後ろを向いたら神威に首根っこを掴まれた。
「ダメだよサクラ。俺に付いて来てもらわないと」
『まじでか…』
あぁもうサクラちゃん泣きそう。
一歩先を歩く高杉に付いていく。
キセルをプカプカ吸いながら堂々と歩く姿は流石鬼兵隊総督。
『で、何処に向かってんの?』
「将軍の所だよ」
『将軍?何のためにさ』
「そりゃあ将軍を殺るんだよ」
『まじでか。』
「てめェは何回それ言ってんだ。…俺達は次期将軍と、話をしに来たんだ」
『何の話を?』
「国盗り合戦ってのをな」
それから少し歩くと、絶対将軍住んでるだろって豪邸に着いた。
誰も見張りがない裏口から侵入し、静かに階段を登ってゆく。
登り終える直前、男の声が聞こえた。
「まぁいいさ、君はどこにも逃げられやしない 茂々…」
『(茂々って誰?)』ボソッ
「(現将軍だ)」ボソッ
男の声がする方へ向かうため、長い廊下を歩く。
「君の味方はもう、この国のどこにもいないのだから。
だが、この一橋喜々の味方(てあし)はどこにだって届く」
男はだだっ広い部屋で、ポツリと外の景色を眺めていた。
私達には気付いていないよう。
「僕はここから一歩も出ずして、君の首を簡単に落とす事ができる」
神威はコソコソしている私と高杉とは違って堂々と男の側へ寄っていった。
『(ちょ…神威さァん!?)』ボソッ
「ホラ、新しい僕の手足の登場だ」
男は神威とは思っていないはず。
だって、約束していたのは高杉でしょ!?えっ大丈夫なのかな!
「待っていたよ。君があの…」
ドゴォォォォオオ!!!!