第5章 ヒルのウサギ
扉の前に立ち、番傘を構える。
『…よし、行くよ。ふぅ…』
ガチャ
『動くなー!!ってあれ?』
「誰もいないじゃないか。サクラ間違えないでよ」
『いやいやいや。間違えるわけねェじゃん。確かにここだった!!』
ギャーギャーと騒いでいたら、頭にズシリと何か押し付けられた。
『…(拳銃か) 神威〜なんか私ピンチっぽいわ』
「……ホントだね。もういっその事、今生死さまよってみたら?」
『その時はてんめーも道づれにするからな』
くるりと回し蹴りをし、相手の溝を狙う。
バギバギ…!と何本か折れた音を耳にし、にやりと笑ってやった。
その内に神威は相手の腕を拳で殴り、また折れた音。
それに、足元に落ちた拳銃。
相手が落ちた拳銃を拾おうとした手の甲に番傘を突き立てる。
『動くな』
「っ」
『こっちは春雨。アンタみたいなの迷いもなく、すぐに射殺できるよ』
神威は落ちた拳銃を蹴り飛ばした。
おっかしいな。游燐が怯えるほどの奴って聞いてたんだけど、
『どうやら、思ってたのと違うね』
相手はビクビクして、拳銃を拾おうとしていた腕は震えている。
あぁ、あれか。と私は気づいた。
『游燐には強い印象与えてたんでしょ。』
「…!」
『游燐そういう所信じそうだしね…アンタ男だから』
で?どうなの?と
「…お、俺が、春雨に侵入したとき、あっさり捕まっちまった…。けどな、アイツ(游燐)は凄腕のスパイって聞いて…」
「暴露するの早いな」
『それな』
「あっけないね。ここは阿伏兎の任せようよ。」
『そだね。…ふん。こんな奴に游燐は騙されて………!?じゃあ游燐はどこいったの!!?』