第5章 ヒルのウサギ
残念だったね〜?と游燐に顔を近づけたら、黒光りする拳銃を向けられた。
『うわお。物騒な物をお持ちで!』
「知ってるでしょ。私の実家は銃剣傘よ!」
『そりゃあね知ってるよ?でも、…だから何?パパが作った拳銃をアンタが使ってるだけ』
なんにも凄くない。
私は銃剣傘を愛用していた敵を何人倒して来たと思ってんの。
威力が強い、軽い素材、壊れにくい、とか理由は様々だけど。
『使う本人と相性が合わないと、すぐ殺られちゃうよ。油断してたらね』
こんなふうに
ドォンッ
「……っ」
『…ね?』
番傘で游燐の頬スレスレを狙った。游燐は少し遅れて反応し、私に向かって発砲するが無意味だった。
『まっ、これが上司と部下の差よォ♪』
游燐はスマホを取り出し時間を確認すると、舌打ちをした。
23:47
『え?どしたの?』
「Dangerous…!」(やばい…!)
『えっえっ?デンジャラス??デンジャラスってなんだっけ!あ、危険か!』
「…っ話の途中で申し訳ないんだけど、It is already time…。Good-bye!」(もう時間みたい…。さよなら!)
『は!?タイムは時間!?グッドバイってさよなら!?!?!?』←外国語全然ダメ
そう言うと游燐は私を追い越し、出口に向かって銃を乱射し逃げた。
……えぇえぇぇ!!?逃げれたの!?簡単に逃げてんじゃん!!
『…かっこよく私が登場したシーンなんだったの…(泣)
……あっ!阿伏兎に連絡!』
すぐさま電話で阿伏兎にこの事を連絡した。
『………で!どうしよう!』
''どうしようじゃねェよ!すっとこどっこい!なに逃してんだ!''
『ごめんなさァァァい!!』
''すぐ師団を動かす!あいつはどこ行った!''
『……え?………アイツってどこ行ったの?』
阿伏兎の長い溜息が聞こえてくる。
幸せ逃げるよって言ったら、その前にスパイ逃してんだってツッこまれた。
『うーん。多分資料室じゃないかな?盗撮したのもそこだし』
''根拠はないが行ってみるか…''
阿伏兎が第七師団を動かしている声が小さく聞こえて、切ってもいいのに〜と呟きながら通話切った。←