第4章 丁か半か篇
それから少し経った後、医務室に阿伏兎が現れた。
「団長!サクラは「うるさいな」…悪い」
「…一応、応急処置はしたよ。三日間、なにも口にしてないんだって」
阿伏兎は、そうか…と話して神威の隣に立った。
機械音が医務室に響く。
「…俺は出るよ」
「あァ」
「…意識が戻ったら教えて」
チラリとサクラの方に目線を移して、医務室を後にした。
「………って言ってるぜ。目ェ覚ましても良かったんじゃねェのか?」
私は腕をのばし酸素マスクを外す。
『……うるさい。神威がデレるなんてほぼ無いの。狸寝入りしかねーわ』
__「…大丈夫だよね。また何時ものサクラに戻るよね?
そんな簡単に殺られるサクラじゃないって……俺、信じてるから。」
『なにあれ。くっそ可愛いかった…』
「何考えてんだ…すっとこどっこい」
少し照れた表情で、ゆっくりと起き上がり身体を伸ばす。
団長は真剣に心配してたぞ、と阿伏兎から聞いて少し申し訳ない気持ちになった。
『でも仕方なくない!?この医務室に私と神威だけ!
あれか!?少女漫画みたいにゆっくり目あけて感動系にしたらいいのか!?』
ふはは〜〜!!と笑う私を見て阿伏兎はため息をついた。
『普通に考えてよ。私は夜兎。
栄養剤打ってくれれば5分で治るくらいの治癒力持ってるしィ』
とうとう頭を叩かれた。
阿伏兎のは痛い。でも神威よりはマシ。(笑)
「今は丈夫でもさっきはヤバかったんだろ?無理すんなって言っただろおじさん」
『あ、そうでした〜
そういえば、私ね、倒れた前の記憶が曖昧で阿伏兎と背中合わせになってぐらいから覚えてねーんよ。どうなったの?私。』
覚えてない!!?と大声で阿伏兎が言った。
『も〜うるさいよ』
おかげで…
「なにしてるの」
『「!?」』
我らが提督、神威さん降臨。
「だ、団長これはその…」
「…阿伏兎、サクラの意思が戻ったら、なんて言った?」
「ほ、報告…」
「そうだよ。それとサクラ」
『な、ななんでゴザイマショ!?』
「俺がデレだから狸寝入りって、どういう事かな。」
この日、医務室から男女の叫び声が聞こえた。
【丁か半か篇 END】