第4章 丁か半か篇
【神威side】
無我夢中で、俺はサクラを抱き上げたまま全力疾走で医務室に運び、ベッドへと寝かせた。
「神威団長…!?」
「どのようなご用件で…っ」
「説明は後にする。今はこいつを治してよ」
「は、はい…!」
医務員はテキパキと私の症状を調べはじめた。
俺は近くにあった椅子に腰掛けてその様子を見る。
サクラの腕には点滴。口元には酸素マスク、上半身には脈拍装置など次々に取り付けられてゆく。
「(そんなに重大なのかい?サクラも夜兎だから直ぐに傷は治るはずだ)」
俺はしびれを切らして近くにいた医務員へ話しかけた。
「ねぇ。サクラは大丈夫なんだよね?」
「…そ、それが…神威団長…」
「なに。」
「サクラ幹部、およそ三日間何も飲まず食わずの生活だったとみられ…非常に危ない状況です」
「飲まず食わず?」
「はい…応急処置として、ビタミン栄養剤を注入していますが…」
「もしサクラが治らないなら、殺しちゃうぞ」
「ひっ…!全力を尽くします!!」
医務員は怯えながらサクラの元へ戻るとまた作業を再開した。
*
15分後、このまま安静に。と言われサクラはベッドの上で寝かされたままだった。酸素マスクと点滴を付けたままで。
医務員は負傷した師団の仲間を処置しに行った。
俺はサクラの傍により、以前よりほっそりとした手を握る。
「そう思えば痩せたね。」
『………』
「三日間ってことは俺が捕らわれてた期間ってこと…、間違いない」
『………』
「あのアホ提督に何されたの?サクラ。お前なら逃げることも可能だったはずだ。」
サクラの手をよく見ると、治りかけの傷跡。それは首筋にもあった。
優しく、壊れないように、首筋の傷跡を撫でる。
「…大丈夫だよね。またいつものサクラに戻るよね?
そんな簡単に殺られるサクラじゃないって………」
………俺、信じてるから。