第4章 丁か半か篇
それから三日後…
なにも口にせずに過ごした三日間。
夜兎でもこれはキツイ。
『(やべェ…喉渇いたお腹すいたお風呂入りたい)』
コンクリートの壁にもたれ掛かり小さくため息をつく。
その牢屋の前に提督が立つ。
「サクラ、ついて来るがいい。」
『……』
ガチャと南京錠を開け、出てきた私の手錠と首輪を外した。
私が抵抗しない、そこまで余裕があるのか。
「神威(やつ)に別れの言葉をつげてやれ」
前を歩くクソジジイを睨みつきながらニヤリと口角をあげた。
*
神威は、中心の大きな柱に囚われてもなお、あの笑顔は変わらなかった。
その大きな柱がたつステージの周りには第八師団の連中が観賞している。
またそれを囲むように他の師団達がいる。
一番高い位置で神威を見下ろす提督の横に立たされた。
そのあと提督はマイクのスイッチをONにした。
「者ども、よく見ておけい!!これが謀反人の末路だ」
我に仇なすは元老に仇なすこととー…うにゃうにゃと。
このクソジジイの話は長い。
さて。いつ助け出そうか。
「神威よ、最後位は組織の礎のために死なせてやる。何か言い残すことはあるか」
「それじゃあ一つだけいいですか」
『(…なに言うんだ)』
「アホ提督」
『プッ』
こんのアホ毛…!つい笑っちまったじゃねーか!!隣のクソジジイは気づいてないけど!
言われた本人は「ぶっ殺ろせェェェ!!」とかほざいてる。
「まァ待てよ。アホ…阿呆提督。そいつぁ俺にやらせちゃくれねーか」
ステージに上がって来たのは着流しをした高杉晋助。
介錯ぐらいはつとめたい、とのこと。
『(ふぅん。高杉…やるじゃん)』
ボソボソ、と神威と高杉の会話が聞こえてくる。
『(地球の喧嘩師と春雨の雷槍が意気投合……面白いなァ)』
高杉は一瞬で刀を抜くと神威を下から切り上げた。
力なく床に倒れこんだ神威を見て、第八師団団長が片手を上げる。
『(やっぱり勾狼の奴め…)』
高杉の後ろを狙う二人の団員。
「せめて、地獄で眠りな」
_______オンボロ船の船員どもよ