第4章 丁か半か篇
高杉を隠すように神威の後ろに立たされた。
「単刀直入で悪いんだけど、どのタイミングで言ってもきっと驚くから言うよ。
死んでもらうよ」
「……別に驚きゃしねーよ。最初に会った時からツラにそう書いてあったぜ」
『(ヤバイこの二人…離れてた方が安全な気がしてきた)』
神威は床に刺してある番傘を腰になおすと、ニッコリと笑う。
「実は以前、侍って奴をこの目にしてからやり合いたくてウズウズしてたんだ。
なんでだろう。微かだけど、あんたからはあの侍と同じ匂いがしたのさ」
「奇遇だな。俺もその白髪のバカ侍を殺したくてウズウズしてんだ」
「……察しがいいというより超能力でも使えるみたいだね。」
「フン」
『(その左目に秘密が詰まってそうだなァ)』
神威の頭に隠れて高杉の表情を伺っていると、後ろからドタバタと騒がしい足音がした。
「神威!!」
『(!!…ッ勾狼)』
気づいたら私の周りを囲むように第八師団が出入り口を塞いでいる。
第八師団団長、勾狼は私の顔を見るとニヤリと笑った。
「邪魔はするなと言ったはずだよね」
『(邪魔…?)』
「………邪魔なんざしねーよ」
ポタ…ポタ…
神威の背中に刺さるのは像も一瞬で混濁させる毒矢。
「あり?」
「神威…俺達が殺りにきたのは、てめーだ」
大量の出血をしてもなお表情は変わらない神威は膝をついた。
『(もしかして勾狼は高杉と…)』
「今まで働いてくれた神威」
第八師団たちの前に出てきたのは阿呆提督。
『…!(ッこのクソジジイ)』
「貴様ら夜兎の血は危険すぎる。組織において貴様ら存在は軋轢しか生まん。」
阿呆提督は少し手を上げると第八師団隊員は一斉に私を拘束した。
「!」
『…なにすんだッ!』
「サクラ、貴様にはまだ用がある」
提督はグイッと顔を近づけ私の肩を触った。
『(キモイキモイキモイキモイ…)』
思いっきり提督を睨むと、本人は気にもせず神威に目をやった。
「こいつぁまいったね。アホ提督に一本とられるたァ」
「銀時(バカ)はてめーの代わりに俺が殺っといてやらァ。
だから安心して死んでいきな」
高杉はそう言って刀に手をかけた。
『神威ィ!!』