第4章 丁か半か篇
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………とは言ったものの
『(やっぱ無理ィィ!)』
私の部屋には高杉も含めて10人程度だったからいける!と思ったのに、廊下にはまだまだいた。
私だけが知っている春雨隠しルートを使い、やっとの思いで振り切った。
だてに幹部やってないよーん!!
『ハァハァ…疲れるわ、私はもうおばさんなんじゃい…』
誰もいない中央ホール。
滴る汗を拭うと服のボタンを二つ開け、パタパタを風を通す。
『つーか私、パジャマじゃん』
さ、最悪だ…お気に入りのパジャマなのに黒ずんでボロボロ…
阿伏兎に買ってもらお。
『(おかしいな…中央ホールに誰もこないなんて…)』
やけに静かなここは気味が悪い。
『(…こうなったら、あの倉庫に行って地球への便…)…ッ!』
ガキィィィンッ!!
番傘と刀が擦り合う音。
『まーだ殺り合うつもり?もう疲れたんだけど。』
ジリジリと足をつめながらニヤリと笑う。
「なら…諦めてその傘『無理だね』…」
『人生はこれからなんで…うおっ』
目の前の男に足を払われ地面に背を着く。
カランカランと番傘は遠くに飛ばされ、喉元に刀を突き付けられる。
『あっちゃー…油断してたわ』
「……」
『そんな怖い顔しないでよ〜。どうするの。殺る?殺らない?』
目の前の刀をギュッと握りしめ、腕へ流れる自身の血液に満足気に笑う。
『今の主導権はアンタなんだから。ね?高杉サン。』
「…」
「何してるんだい?」
「!…」
ドゴォォ!!
私の真横に突き刺さる見覚えのある番傘。
…自分のではない。
間一髪で私から避けた高杉は刀を鞘に収めた。
「やっ…また会ったね」
『…神威、邪魔しないでよ』
「サクラはもう充分楽しんだじゃないか。次は俺の番だ」
怪我してない方の手を掴まれ、グイッと立たされる。
『ったくワガママ坊ちゃんですことーー』