第4章 丁か半か篇
言われるがままに私はキッチとチャイナ服(+マント)に着替え、部屋を出る。…あ、虫食いの穴。
提督室に繋ぐ長い廊下を歩く。ここは暗いから嫌いだ。
『だからさー、何で私もあのアホ(提督)に会わなきゃいけないの。』
「勘弁してくれ…サクラ。直々のご命令だ。」
『顔も見たくないわあんなクソジジイ。』
「行くよ。阿伏兎、サクラ」
『なに』
「寄りたい所があるんだ」
『…は?』
*
コツコツと響く道。
左右には薄暗い牢屋。
床も壁も全てが汚くボロボロ。
一番奥の牢屋から、コロコロと音がする。
私たちに背を向けながら茶碗を裏返し、二つのネジを隠し混ぜる女。
「うふふ…ちょうか…はんか
ちょうか…はんかァ」
神威が一歩前へ出ると「じゃあ…丁」と呟いた。
その言葉を聞いた女は茶碗を上げて不気味に笑った。
「ふふふ〜はんじゃ…」
「ありゃりゃ。負けちった」
神威はしゃがみ、女の姿を伺う。
どこを見ているのか分からない女は床に這いつくばった。
「派閥争いで居場所を失い、組織の金持ち逃げしてどこに姿消しちまったらしい」
『…嘆かわしいねェ〜。あの宇宙に咲く一輪の花と呼ばれた第四師団団長が…顔も変わって地球からご帰還なんて』
「ホントだね。まさか阿伏兎の好みがこういう女狐だったなんて」
えっと言う顔で阿伏兎を見ると満更でもない顔だった。
「ガキにはわかるまい。世の中なんでも手のひらサイズ、コンパクト時代になっちまったがねェ。女だけは手に持て余すくらいが丁度いいんだ」
「DS位?」
『PSP位じゃないの?』
「んにゃ、メガドライブ位だ」
「成程、通りで今まで捜し回っても見つからないワケだ」
『なんせ阿伏兎のお気に入りのメガドライブだもんね〜〜』
少し反応した阿伏兎と茶化すように笑う。