第3章 吉原炎上篇
?を浮かべたサムライさんの前に立つ。
『私はサクラ。サムライさんは何て名前?』
「俺ァ坂田銀時だ」
『坂田、銀時…そっか。道理でかっこいいと思ってたんですよ!』
「…?」
『銀時さん、…言いましたよね、事が終われば私と一杯。』
「…俺ァ覚えてねェな。さっさと帰れ帰れ」
『またまたァ…でも今回は時間がなさそうですし、また別の機会にでも』
「あァ……?」
銀時さんのぶらんとしている左手をとる。
そのまま指に口付けた。
「「「!!」」」
「……」
『…気に入りました。銀時さん、あなたの言葉は胸に残るものばかり。
そのまっすぐな眼を忘れないでくださいね。』
神威の元へ戻り傘の中に入った。
「オイッ!」
『はい?』
「“銀時さん”じゃなくて“銀さん”って呼べよ。それと、敬語は必要ねェよサクラ。」
『…』
「…サクラ」
『じゃあね“銀さん”』
神威と同時に屋根から飛び降りた。
片手を上げながら。
「…(なにあっっまいセリフ…!どこぞの王子様だよ!!)」←不意にもキュンとした
*
路地裏。
太陽が昇った吉原に暗い場所はない。
「たまげたねェ。吉原に陽が昇ってやがる。陽が昇ってるってこたァ沈んだのは夜王ってわけかい」
「さぁね。負けたやつに興味はないよ阿伏兎。」
傷だらけの阿伏兎が片足を上げ座っていた。
『それは手厳しいね。これでも阿伏兎は頑張った方じゃん?』
「なんせ、相手はあの夜王を倒しちまう程のお嬢さんだ。…なぁお兄さんよ」
『……』
「…阿伏兎、また悪い癖が出たね。俺とやり合ったときもそうだった。」
『…そうだねェ、私の時もそうだった。』
「同胞を大切にするのは結構だが、加減したまま力を出し切らず負けるなんて夜兎の風上にもおけやしないよ」
『阿伏兎は夜兎の血を愛で過ぎたね。』
「最も血に恥ずべき行為を行ったんだ。言っただろう。弱い奴に用はないって」