第3章 吉原炎上篇
地球人の相手は大きな番傘を振り回す夜王。
砂煙で前が見えなくなるのをいい事に旦那は百華の連中をなぎ倒していく。
『…やっぱり地球人だね。夜王には勝てないか。』
「…サクラ、見てみなよ。」
『ん?』
何度地にひれ伏せさせても、
何度希望を断ち切っても、
何度でも立ち上がる。
『あ…』
同じ。この瞳は…
この気高い魂は、日輪と同じ。
「凄いね。夜王に食らいついてる」
『…そうだね』
つなぎ止めろ
魂を。
たぐりよせろ
生を。
しがみつけ。すがりつけ。かみつけ。泣きつけ。
どんなになっても…護り抜け。
サムライさんは旦那に木刀を叩き込んだ。
これには隣の神威も目を見開く。
どこにそんな力が残っているのか、旦那が追いつけないくらいのスピードで木刀を振り上げる。
反撃する暇を与えるな
息さえさせるな
もうチャンスは二度とない
これで決めなきゃ 負ける。
「これで…シメーだァァァァ!!!」
旦那を壁に突き刺す。
それを合図に百華達がクナイを投げた。
「射てェェェェ!!」
ズガガガガガガ!!
辺りが静かになり、旦那も起き上がれなくなった。
「やった…」
「ついに…やった」
「鳳仙を…!」
「あの夜王をついに倒したァ!!」
「自由だ!」
「これで吉原は…私達は…!」
「自由だ!!」
『…そんな簡単に、殺れないよ。』
「!! まだだァァァ!!」
砂煙の中から覗く夜王の眼。
それと、三本のクナイが飛ぶ。
サムライさんは百華の頭を庇い、身体に二本のクナイが刺される。
あと、
もう一本は、二本のクナイとは離れ、
『!』
「サクラ!」
『…ッ、いッ…た…』
神威を庇った私の胸元に。