第3章 吉原炎上篇
静かに喉元に手を当て目を閉じる旦那。
「…渇きが癒えぬのだ。
日輪(たいよう)が輝く限り、わしの渇きが癒えることはない。
太陽を手に入れる。それ以外この魂の渇きを癒やす手はありはせん…。日輪。お前の全てを壊しお前の全てをわしが手に入れてやるわ。」
カッと目を見開き、日輪と晴太に向かって言った。
「我が下に沈むがいい!!お前はわしのものだ!!」
「……沈められるものなら沈めてみろよ。
たとえお前が何度太陽を沈ませよえと、空が晴れているかぎり、太陽は昇る。何度でも」
ヨロヨロと日輪を背負い、汗だくで廊下を歩き出した晴太。
それを見て私はニヤリと口角を上げた。
「童…貴様…」
「晴太!離しな!アンタ大人一人背負って吉原から逃げられるとでも!!」
ヒョイと晴太達の元へジャンプし、柵の上へ立つ。
『…背負わせてあげたらどーですか。親に背負われていた赤ん坊の晴太とは違います。もうアンタを背負えるくらい成長してるんだから。』
晴太の頭をポンと叩いた。
「…アンタ…!」
「そうだよ。背負わせてくれよオイラにも。自分ばっかり背負って終わらせないでくれよ。」
「せ…晴太…」
「そいつは頼もしい話じゃな。夜兎にまで同情されるとは。」
旦那へクナイが投げ込まれる。
しかし旦那は軽々と避けた。
「これは…」
ザッ…
「ならば背負ってもらおうかの。ここにいる皆を。
貴様の母親、49人。」
『プラス2人。』
「優しい息子をもって幸せじゃ。わっちゃ」
「月詠!!」
この後、私は神威の元へ戻った。
けどなぜか頭を叩かれて怒られた。
「サクラなにサラッとプラス二人とか入れちゃってんの。一人でいいじゃないか」
『え、いいじゃんんん。神威も親になった気分で、ねぇ?』
「俺はまだ子供だよ」
『…女の味を覚えた人は子供じゃありませんー。』
まぁいいけど。言っちゃったもんねー。と屁理屈を言った。
その時、百華の頭、月詠がサムライさんにクナイを投げるところだった。
けど、刺さる直前、二本の指でクナイを止めた。