• テキストサイズ

【銀魂】ヨルのウサギ

第3章 吉原炎上篇







「…貴様、誰だ」


「なァにただの女好きの遊び人よ」



たった一人で腰に刀を下げて鳳仙を見つめる人。



「ぎっ…銀さァァァん!!」


「…何してんだアホんだら。俺はいいからさっさと行け。」


「…でも、行っても…いいの?血もつながってないのに…オイラみたいな汚いガキが…」


『……晴太、さっき言ってたじゃん。母ちゃんを、護るって。』


「その通りだ。呼んでやれ。腹の底から、母ちゃんってよ」



男の人がそう言うと、晴太は振り返り、日輪に近づく。



「……いいのかい?血もつながってないのに。こんな…薄汚れた女を母ちゃんなんて呼んでも…
いいのかい?今まで…アンタに何にもしてやれなかった私を…母ちゃんなんて呼んでも。」


「…母ちゃん!!」


「いいのかい?私なんかがアンタの母ちゃんになっても…」



「母ちゃんんんんんん!!」



晴太は日輪に向かい駆け出した。

日輪も晴太に振り向く。




「晴太ァァァァァァァ!!!」


「母ちゃんんんんん!!!」



二人は抱き合い泣き、幸せに浸る。




『ねぇ。神威、あの銀髪の男の人…』


「…アレは、あの時いた…へぇー生きてたんだ」


『やっぱり。よくよく見たらイケメンさんだねェあの人。』



そう言ったらまた神威に脇をつねられた。痛い…



「…そうか。貴様が童の雇った浪人。わしの吉原を好き勝手やってくれたのはぬしか。」


「好き勝手?冗談よせよ。俺ァ女の一人も買っちゃいねーよ」


「そうか。ならばこれから酒宴を用意してやる。地の宴をな」


「過分な心遣いありがたいがそいつは遠慮するぜ」



こんな場所で、酒を飲むなんて何も旨くない。男の極楽、吉原桃源郷。



「どんだけ美女集めようが、どんだけ美酒を用意しようが俺ァ てめーの吉原(くに)で酒なんざ一滴たりとも飲まねェ」



鎖で繋がれた女から酒なんて注がれても何も旨かねーんだよ。
泣きながら酒なんて注がれても何にも旨かねーんだよ。


「女の涙は酒の肴にゃ辛過ぎらァ」



銀髪の男の人は鞘から刀を抜き、構える。



/ 107ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp