第3章 吉原炎上篇
『というか、私達どこに日輪がいるか知らないんだけど、それでもいいならおいで!』
晴太に背を向け歩き出す。
「お…おちょくってんのかよ…」
『おちょくるわけないじゃん!』
「アンタら…オイラ達の味方じゃない、鳳仙の味方でもない。一体…何なんだ」
「あいにく吉原にも仕事にも興味はないんだ」
目の前には百華。後ろにも百華。左右には襖。逃げ場はない。
百華達は刀や薙刀を構える。
「会いたくなった。あの夜王鳳仙を腑抜けになるまてたらしこんだ女に」
一斉に刀を振り上げ、迫ってきた。
「うわわっ!!」
神威は晴太の身体を脇に挟み、ピョンとジャンプした。
ついでに私は神威の背に周り首に腕を回し、神威に捕まる。
私達は天井の柱に手をかけ百華達を見下ろす。百華達は驚き動きが止まった。
『吉原中の花魁達から太陽と呼ばれてすがられる日輪に会いたくなったんだよ』
神威は柱から手を離して飛ぶように百華達を皆殺しにした。
あー血だらけ…汚いなぁ。
トン、と綺麗に着地した神威。
背から降りると、神威は晴太を手から離して晴太についたホコリを払う。
『うわ。今日は神威の優男事件が二回もあるなんて…明日は事故るかも』
そう言ったら脇をまたツネられた。力が強いしやめてくれ。
「俺はどうやら今まで捜し人を間違ってたらしい」
『じゃあ会いに行こうよ』
「吉原で最も美しく強い女に」
そう言ってまた歩き出した。