第3章 吉原炎上篇
襖から完全に見えなくなった阿伏兎をよそに、私はゴロンと横になった。
「あり?サクラ何してるの?」
『寝るの』
「これからどうしようか」
『阿伏兎帰ってくるまで待つ選択肢「ない」ですよねー』
「暇だねサクラ。何かないかい?」
『お昼寝タイムにしましょう。神威も旦那と闘って疲れたでしょ。』
「俺はまだまだ動けるよ」
『へー…ほう…若いねぇ…ふぁあァァ…』
ゴロンと寝返りをうって神威に背を向ける。
「そうだサクラ、あの子供を探そうよ」
『はぁ?晴太は百華に捕まってるんじゃないのー?』
「まだ分からないじゃないか」
『じゃあ一人で探しに行っておくれやすゥ〜。私はここで寝てるから、見つけたらここに戻ってきて。』
「え?なに?3○でもするの?」
『すいませーっん。伏字の言葉はご遠慮〜。
阿伏兎帰ってきたら春雨に帰宅でよくね?帰るまでが遠足だし。』
「じゃあナニする?」
『ちゃんと話聞いてた?それでギリギリだって分かってよ。』
またゴロンと寝返りをうって、今度は神威の方に向く。
「目、閉じそうじゃないか」
『あったりまえでしょ?今日はいつもより早く起きてんだから…いや、起こされたんだから。』
「うーん。じゃ、日輪に会いに行こう。この騒ぎなら行けるよ」
『…日輪?ふぅん。』
「(あ、くいついた。)」
『よし!行くぞ〜!!』
シュタッと立ち上がった私に神威はニコニコと笑顔が倍増した。…と思う。
*
『ね、あそこにいるの晴太じゃないの?』
「んー?」
百華三人に追いかけられる晴太。
必死で逃げ回る晴太、けど大人と子供だからあと少しで手が触れる時…
ドパァ!
『あ〜血だらけじゃん。ちゃんと拭いてよ?』
勢いよくこっちに顔を向けた晴太の目は瞳孔がひらいてた。
血だらけになった百華の三人は床に倒れる。
「こんな所で何をしてるの」
ケラケラと神威はいつも通りに笑う。
『あ、日輪探してるんじゃない?』
ガチガチと震え出した晴太に私達は心配する。風邪ひいたのかな、と神威と顔を見合わす。
「そんなに会いたいなら会わせてあげよっか?」
『そうだよ!一緒に行こう、日輪に会いに!』