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【銀魂】ヨルのウサギ

第3章 吉原炎上篇







ポタ…ポタ…




傘を開いて阿伏兎と背中合わせになる。

自分をかばう盾の傘はもう使い物にならないぐらい穴が開いていた。


ドサッと旦那の足元に落ちる阿伏兎の腕。



「そこまでだ。二人とも落ちついてもらおう。」



腕の力をなくして落とす番傘。
私も使い物にならないので足元に落とした。



「腕一本であんたらの喧嘩止められれば上出来だ。」


『阿伏兎の腕に免じてどうか鳳仙の旦那、神威の不始末、私の発言お許しを。』


「残り少ない同族同士で殺しあうのは目覚めが悪い。俺たちはアンタと戦争しにきたんじゃねェ。よりよい関係を築きに来ただけだ。」


「まだ甘い汁が吸い足りぬか。いっそこの吉原がほしいと正直に言ったらどうだ。」


『…元老(うえ)も怖いんです。夜王鳳仙の怖さは仲間だった春雨(わたしたち)が一番知ってる。』


「アンタもこの街も、巨大になりすぎた。金だけじゃねェ。アンタが春雨を裏切らないという証がほしいのさ。ジジイ共は。」



旦那は着流しをシッカリと羽織る。



「大した仲間だ。隠居し余生を送る老いぼれにたかろうというのだからな。…興が醒めたわ」


「旦那!」


「……金でも商いでも好きにするがいい。そんな下らぬもの、わしはもういらぬ。」



阿伏兎と私の隣をすり抜ける。
そして振り返った。



「だが…、この街、わしの吉原(くに)を奪おうというのであれば、ぬしら夜王の真の姿見ることになるであろう」


そうして神威の隣もすり抜けた。



「興醒めしたのはこっちだよ。
そんなに自分のつくった玩具(おもちゃ)が大事か。ならばそのまま吉原で干からびて死んでゆけばいい。
あんたは殺すにも値しない。」


『…神威』


「行くよ。サクラ、阿伏兎。」



そう言って神威は屋根から飛び降りた。
私も続いて飛び降りる。旦那が何か話していたが聞こえなかった。


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