第3章 吉原炎上篇
なんかもういろいろ凄いんだよ。
夜王鳳仙と神威の闘いは。
二人共、闘いを楽しむような笑みで殺りあうから近寄れない。
五分五分かな?って所で旦那が神威の顔面に手をついて床に倒した。神威は旦那の顔面を足で押す。
『流石は夜王鳳仙。かつて夜兎の頂きに立った男だわ。』
「おいそれと下克上ってわけにはいかないようだね」
「フン、下克上?笑わせるな。神威、貴様には上も下もあるまい。」
一歩、一歩と二人に近づく。
「サクラ!また団長にやられるぞ!」
『神威にあるのは、強いか弱いかただそれだけですよ旦那。』
「ククッ弱き者は意にも介さんが、強き者はたとえそれが誰だろうと、師の儂であろうと…牙をむく。」
!鳳仙の旦那は神威の師匠…。ふうん。師匠と弟子の闘い、か。
『古くからより強き者をより強き力を求め、戦場をさまよってきたのが我らの種族ですから。』
「こんな土の中に安住し、酒と女に溺れるうち、その血まで渇いてしまいましたか。」
旦那の目がよりいっそう見開かれる。
『うーん。そろそろ神威に代わってもらおうかと思ってたんだけど…。今の貴方に勝っても面白くなさそうなので遠慮します。』
「思い出してください。己が中に流れる修羅の血。あなたの渇きは酒や女では癒やしない」
「黙れ」
ググッと神威を持ち上げる。
それなのにまだ笑ってる神威。
「あなたの居場所はこんな所じゃない。」
「黙れと言っているんだ」
「あなたの居場所は…」
話の途中で神威は部屋の方へ投げられた。
私の横をスレスレで通って行ったので風て少し目を細めた。
破壊された部屋の中から出てきたのは星海坊主の目の神威。
「そう、俺達の居場所は戦場(ここ)ですよ」
シン…と沈黙が入るが、旦那と神威が同時に駆け出した。