第10章 狙い狙われ

｢･･･背後からトドメを刺すな、小南･･･お前こっち側の立場だろ？｣
｢え？私が無能側？ペイン、本気で言ってるの？｣
｢いや無能側とかじゃなく俺側と言うか･･･｣
｢はあ、やれやれ。何にも聞こえないわ･･･｣
小南は無表情に頭を振って、全員を見回した。
｢事態の拡大は望ましくない。これを一義と心得て迅速かつ臨機応変に対応する事。音はともかく、木の葉とは極力遺恨を遺さない。深水が連れ合いと合流し里抜けした後は、状況に依り追報酬で依頼を受けるのを許可する。牡蠣殻に関しては実質依頼主になった鬼鮫の意向に準ずる。以上、はい、解散解散｣
パンパンと手を打って、小南は立ち上がった。
｢さ、ペイン、GEOに行きましょ｣
｢･･･そんなお前が好きだ、小南。しかし今凄く泣きたい気分なのは気のせいだよな？｣
｢泣けば？｣
｢く･･･ッ｣
｢･･･鬼鮫｣
小南に手を引かれて広間を出て行くペインを見送って、イタチが鬼鮫に声をかけた。
｢一つ一つ片付ける筈の事がまとめて来た感があるが、段取りは取れるのか｣
｢ふ。手間が省けるいい機会ですよ｣
｢ならば手落ちのないようにな。お前は口だけの男ではないだろう｣
感情を挟む事なく淡々と言うイタチに、鬼鮫は口角を上げた。
｢あなたのそういうところ、付き合い易くていいですねえ｣
｢俺は深水さんの里抜けに手を尽くす･･･デイダラ、行くぞ。依頼主と話を詰める｣
｢･･･深水さんにまた後日とお伝え下さい｣
鬼鮫の一言にデイダラと立ち去りかけたイタチは振り返った。
｢まだ話せる。用があるなら済ませておけ」
鬼鮫は肩をすくめて立ち上がった。
｢ごもっとも｣