第8章 面倒な師と手のかかる弟
アジトの広間に牡蠣殻の後ろ姿があった。
サソリと何やら言い争っている。
びっくりするくらい腹が立った。
怒りに任せて襟首を引き上げていたら、牡蠣殻が死にかけた。
「何なんだ、アンタ何がしたいンだ、鬼鮫?うん?」
デイダラが呆れている。
「殺しに戻って来たのか?話があるって言ってたのに?」
「サソリと仲良くしてっから、イラッときちまったんだろ。お子ちゃまだなァ、デイダラァ」
「・・・ちゃまは止めろ、せめて様って言え?うん?ぶっ飛ばすぞ、ゾンビパンダ」
「おーい、最初にゾンビパンダ言い出したのァ誰だァ?手ェ上げろォ、ぶっ殺してやっからよォ」
「私ですよ」
「何だテメエか鬼鮫ェ。よぉし、今テメエも吊ってやんぜ」
「・・・それには少し背丈が足りないんじゃないのか?」
「やらせてやれ。やってみなきゃ分からんのだろう、馬鹿だから」
「吊るより吊られりゃいんだよ。どうせ死なねェんだからよ」
「お騒がせしておいて何ですがね。全員黙ってくれませんかね?落ち着いてモノも考えられない・・・」
鬼鮫は渋い顔でメンバーを見渡した。
「私はこの人と話があるのですよ。邪魔なんでどっか行って下さい」
「話ったって、気ィ失ってるんだぞ?話せないだろ、うん?」
「コイツとまともに話なんか出来んのかよ。腹が立って話になんねえ」
サソリが言うのに、鬼鮫は顎を上げた。
「だったら話さなければいい」
その鬼鮫の様子が勘に障ったらしい。サソリは眉間に皺を寄せた。
「うるせえな。俺が誰と話そうが俺の勝手だ」
「ならどうぞ、ご自由に、いくらでも」
「・・・誰がコイツと話すっつった?大体口きけんのか、今が今」
「この人で足りないようなら、この人の先生もいますよ?」
まだ目を覚まさない深水を手先で示す鬼鮫に、サソリは厭な顔をした。
「何でそんなん連れて来てんだ。どんだけメンドくせえ事してんだよ、テメエは」
「成り行きですよ。好き好んで面倒事に顔を突っ込む程暇じゃありませんからねえ、これでも」
「伝書鳩で文通するくらいには悠長で暇らしいがな」
優雅に本を読みながら角都が突っ込む。
「ダハハ、鳩な!聞いたときゃ笑ったぜェ!」
「何だってそう皆が皆鳩で笑うんだか、さっぱりわかりませんよ・・・イタチさんまで笑ってたんだから余っ程なんでしょうがねえ・・・」