第6章 内股膏薬
「おいおいおいおい、嘘だろ・・・」
「ちょっとどうすんのよ!護衛どころじゃないわよ!アタシたちが誰かに守って貰いたいくらいよ?」
「誰?あの人たち?」
「カブトはわかるだろ?あと二人・・・誰だ?」
「誰だっていいわよ!このまま相討ちするかどっか行くかしてくれれば!」
「強そうだよね?大丈夫なの?」
「大丈夫じゃなさそうだから、取り合えず隠れて様子見てんだろ・・・」
「やだやだやだやだ!こんなとこであんな変な連中に出会すなんてサイテー!あと二日早く来てくれれば、サクラやナルトに押し付けられたのに!」
「いの、ひどいなあ・・・」
「ひどくない!あそこならカカシ先生がついてるじゃない!ガイ班なら皆強いし、紅班なら犬とか虫とかオプションついてるし、どう考えたって、こういうシーンで一番マズイのはうちの班でしょ!」
「うちにはシカマルがいるじゃないか・・・」
「そのシカマルが隠れて様子見て、出来ればやり過ごすって言い出したのよ?どうすんのよ、これから!シカマルなんて当てになんないんだから!」
「ひどいよ、いの!」
「いや気持ちは嬉しいけど俺もいのに同感。悪ィな、チョウジ」
シカマルはお手上げの証拠に両手を上げて、口をひん曲げた。
静かな磯の里人のものとも思えない賑やかな声が聞こえて立場上様子を見に来たらば、黒装束の胡乱な二人組と、何故かカブトが里の男を巡って揉めているところに出くわしてしまった。
「はァ・・・来んじゃなかったぜ・・・見なきゃ関わんねえですんだのによ・・」
「今からでも遅くないよ!見なかった事にしよ?」
「里の人が巻き込まれちまってんだから行くしかねえだろ、はぁ、メンドくせぇ・・・」
シカマルは周囲に目を走らせ、状況を検分しながらチョウジの肩に手をかけた。
「チョウジ、倍化出来るか?腹減ってないか?」
「大丈夫」
「よし、こっから離れろ。磯の居住地に被害が出ない距離まで行ったら倍化だ。倍化するだけでいいからな。すんだらすぐその場を離れろ」
「うん、わかった」
「あ・・・ッ」
いのが声を上げる。
大刀を帯びたそびえるような大男が、術らかにその大刀を繰り、樋を走る雨水のような速さでカブトに斬りかかったのだ。大刀は驚くような距離を走って、充分な間合いをとっているかに見えたカブトを易々と捕らえる。
肩口を裂かれたカブトは大きく飛び下がった。