第6章 内股膏薬
「・・・もっと首をこう・・こうか?うん?違う・・頭がデカ過ぎんのか?や、体がちっちぇか・・うん?」
ブツブツ粘土をこねくり回していたデイダラは、たまりかねて鬼鮫に声をかけた。
「なあ、アイツ、こんなじゃねえよな?もっとシュッとしてたよな?うん?どこがいけねえんだ?どう思う?」
「もう帰んなさい、デイダラ。あなたいよいよ邪魔ですよ」
テントに毛が生えた程度の簡易住宅が並ぶ森の空地を伺いながら、鬼鮫は飽くまで素っ気ない。
磯の里人は噂通り数が少なく、人影は疎ら、静かである。
だから、その三人組はよく目立った。
「二週間もこんな何もないとこにいなきゃなんないなんて、厳しいっての。こっちは遊びたい盛りだってのに」
「しょうがねーだろ。任務なんだからよ。ごちゃごちゃ言われるとこっちまでやる気がなくなるっつうの・・・はァ、メンドくせぇ」
「二人ともあんまりおっきい声でそんな話しない方がいいよ、里の人たちに聞こえるよ」
「そうだな。おいいの、黙っとけ。愚痴は後でまとめて聞いてやっからよ」
「何よ、シカマルだってメンドくせぇだのしょーがねえだの文句ばっかりのくせにさ」
「でもさ、こんな何もないとこで食べ物はどうするんだろうね・・?」
「そんな顔すんな、チョウジ。磯の人だって食わなきゃ生きてけねえし、何かしらあんだろ」
「木の根っことかね!」
「木の、根っこ・・」
「バカ、止めろ、いの!大丈夫だってチョウジ、飯くらい出る」
「涙ぐんじゃってバッカじゃないの。いい機会だからアンタ、ダイエットしなさいよ」
「いの!」
「ハイハイ、わかりましたよ!シカマルさぁ、アンタ、チョウジに甘過ぎ。本人の為になんないんだからね、そういうの」
「お前はうるせえんだよ」
「ムッカつく!いっつもアタシばっか文句言われてさ!」
「駄目だよケンカは・・・ボク木の根っこで我慢するから・・・」
「バカ、そんな話してんじゃないの!」
「チョウジ、まさか木の根っこはねえと思うぞ・・・」
"何で木の葉のガキが?"
「あれは木の葉の護衛の子達です。微笑ましいですな。あの目の吊った子など、学舎にいた頃の牡蠣殻を思わせる・・・」
「・・・アレは男でしょう?まあ・・・目が少し似ていると言えば似ていますかねえ・・・・・木の葉が磯の護衛?」
「暁の耳目に入らぬものもある様ですな。他言は無用ですぞ」
「・・・深水さん?」