第24章 It's foolish bird that own.
苦笑しながら波平の手を退け、牡蠣殻は座敷に目を走らせた。
「汐田さんと奈良くんをいつまでも二人にしておいちゃいけません。礼のつもりがお礼参りみたようになっては大変ですよ」
「あれで楽しそうにも見えるけどね」
「ははは、汐田さんといると皆傍目にそんな風に見えますね。私は大好きですよ、汐田さん」
言ってから、牡蠣殻は唇に指を載せた。
「しかし本人には内緒です。浮かれてどうなっちゃうかわかりませんからね」
「寂しくなるな」
波平は鬼鮫を見て微笑した。それがどれだけ珍かな事かわからない鬼鮫は、ただ見返す。
「ま、これが不甲斐ない私のやり方です。今はこれで精一杯。何せ他の問題も抱えてますのでね。後はよろしく、良いように計らって頂ければ有り難い。お手並み拝見させて頂きましょう」
何心なく店内を見回し、波平はまた茫洋とした波平に戻った。
「私が巣を汚す愚かな鳥かどうか、私自身もその答えが楽しみですよ。良ければ一緒に呑みませんかね?それも一興と思し召しましたなら。・・・あなたには実に興を唆られる・・・。店で、待っているよ、牡蠣殻。さもなくばいずれの日かまた会おう」