第21章 互いに印す事
「どうやってここまで来た?・・・迷う事はなかったか?」
「迷う?」
イタチに聞き返す鬼鮫と牡蠣殻を見比べて、深水が笑った。
「成る程、牡蠣殻、お前が連れて来たのか」
「別々に移動するより確実ですから」
渋い顔をしている鬼鮫を見上げて牡蠣殻は苦笑する。
「干柿さんはお気に召さなかったようですが」
「内蔵を引きずり出されるような感覚が不愉快この上ない。あれを笑いながら平然と流す磯の人は繊細とは言い難いですね」
「ちょうどいい。牡蠣殻、杏可也のところへ連れて行ってくれ。出来るか?」
「・・・・ええ、多分この距離でこの人数なら・・」
降下を始めたデイダラの造詣粘土の鳥影を目で追って、牡蠣殻は頷いた。
「イタチさん、論より証拠、功者の技をお目にかけましょう」
深水がイタチに心持ち得意気な顔を向けた。イタチは牡蠣殻を初めての相手を見るような目で見た。
「ではこの人は、所謂功者・・・」
「・・・先生、止めて下さい。・・・・イタチさん、変な目で見ないで下さい、結構なストレスですよ、この感じ」
牡蠣殻がイタチの視線に居たたまれない表情を浮かべて閉口する。諌められても深水はどこ吹く風で満面の笑みを浮かべた。
「私の出来の悪い教え子の、一番の得意技です。とくご覧あれ」