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連れ立って歩くー干柿鬼鮫ー

第16章 八面六臂


満更口だけでもなく真顔で言うアスマに、カブトは苛立った目を向ける。
「余計なお世話ですよ。生温い言葉を吐き散らかすのは止めて欲しいな。それより、自分達の心配をしたらいい、ですよッ」
手にしたクナイを一斉に放って、カブトは藻裾が止めを刺したドアの外まで、囮に使い棄てた女を越えて飛び下がった。
「避けろ、傷を付けるな!」
波平が自らも身を躱しながら告げるのに、高笑いして陰に紛れる。
「退路を易く整えて貰って助かるね。あなたたちお歴々とはまた顔を会わせる事もあるでしょう。牡蠣殻、生きて会えるのを期待しているよ。干柿さんによろしく。ハハハッ」
クナイが壁や窓枠に突き刺さる音が幾つも跳ね飛んだ。
飛び下がり、身を伏せ、クナイを避けた波平とカカシ逹は、目をあげてカブトのみならず飛段と牡蠣殻の姿がない事に気付く。
「・・・消えた?」
紅の言葉にアスマとカカシは首を振った。
「逃げたな」
「磯の里人だからね。波平さん、嫌われちゃってんじゃないの?」
波平は床に残った血の滴を見下ろして、ふむと唸った。
「おかしいですね。せっかく戻ったのに、今度はどこに・・・誰のところへ行っちゃったんでしょうね」

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