たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第6章 甲音
「ど、どうして主が謝るんだ!?僕は、僕は君を犯した刀なんだよ!」
決して許されることじゃない。最後にそう付け加える。これだけの事だ、腹の一つや二つは斬らねばならぬだろう。そう思っていると「でも…」と小さいが芯のある声音で主が反論する。
「歌仙さん。僕も、僕も悪いんです。あなたが「僕のことが好きだ」、って分かってたのに反応してあげられなかった。ずっとずっと苦しんでたの分かってたのに…」
言い終わると同時に主の目から涙が零れる。そしてこの光景に呆然としている歌仙の逞しい胸板に顔を埋めながら懺悔の言葉を続けた。
「ごめんなさい、ごめんなさい歌仙さん!もっともっと僕があなたの気持ちを理解出来てたらっ…」
その言葉を最後に主は言葉を詰まらせ声を殺して歌仙の胸で泣いた。そんな時歌仙に出来たことは、主の背を優しく撫で「泣かないで、主」と声をかけるぐらいであった。