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たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための

第6章 甲音


 先代の主、彼はこの地獄の環境の中で「救い」と呼べる数少ない存在であった。

歌仙は先代に顕現されたその時から、彼に惹かれていた。そして歌仙が主を思いは一緒に暮らせば暮らすほど大きくなっていった。

黒くて長い艶のある髪。笑った時に出る笑い皺。薄い筋肉を纏った体、主の全てに歌仙は目を奪われた。

だけれど、臆病だった歌仙はどうしても気持ちを先代の主に伝えられなかった。そんな彼に出来る事と言えば彼を助け、隙があればその美しい体を盗み見ることくらいであった。

そして日に日に先代への思いは増していき。遂に歌仙は夜な夜な自分を慰めることもあった。しかしそれでも自分の中にある思いを治めることは出来なかった。

最初に生まれた小さな恋心はいつの間にか心全体に広がり、更にそれは自分の奥深くで得体の知れない感情へとなっていった。

そんな日が続く中、歌仙は先代の吹く龍笛の音につられて、無意識のうちに彼の部屋の前まで来ていた。
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