たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
「いやぁ、すいません。お待たせしましたか?」
そんな事を考えていると、玄関で出迎えてくれた鞍馬、とか言う奴が入ってきた。それに続いて鳴狐も茶を盆に乗せて入ってくる。
鳴狐は全員の前に茶を置いてすぐに出ていった。襖が閉まると同時に内中原が口を開いた。
「本当にこの本丸には楽団があったんてすね」
「はぁ?」
てっきり遡の事件について発言するかと思っていたが、先輩刑事は自分が思ってもいなかった事を口にした。
「いやいや、さっきの鳴狐君は首にストラップ着けてたでしょ。それで(本当に楽団なんてあったんだ)って思ってね」
(ストラップ…サックス、バスクラファゴットなどが着ける楽器の命綱的な紐で首からかけているのでよく付けたのを忘れてしまうアイテム)
「ええっと、刑事さんは吹奏楽に詳しいんですか?」
少し驚いたように鞍馬が質問するが、その通りだ。内中原は警察音楽隊でコントラバスを弾いている。しかも腕はプロ並なので、たまにエキストラとしても出演するほど凄い人だ。