たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
「寺町涼雅」
寺町は応接間らしき所に通されると胸ポケットから愛用している手帳を取り出した。初めての給料で買った物だ。
「寺町さん、大丈夫ですか?」
その手帳を見つめていると隣の先輩警官である内中原 康が声をかける。見た目は冴えない人だが警察官としてはかなり有能な人だ。
そして、このベテランと今日この本丸に来たのは昨日の遡の件で改めて事情を聞くのが目的である。それに当たってこの本丸の事も調べたのだが、調べれば調べるほど、怪しい本丸であった。
二代前の主は急に蒸発、次に来た主は悪徳審神者で、今は吹奏楽常連校の有名指導者に玄関で自分を出迎えた一人の男。不自然な点が山ほどあった。