たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
二日目からは他のパートの練習も見ることになった。出陣などで欠けている者もいたが、基本的に全員が練習をして、上手くなっていた。あるパートを除いては。
「全員合ってないよ。はい 1.2.3 」
唯一成長が認められないパートそれはパーカッション(打楽器)だ。個人の技量は充分だが、いざ曲を合わせて見るとバラバラになる。
それに加えて自分はパーカッションの指導は苦手だった。バチの持ち方だって怪しい程だ。
だから「先生ならば」と考えてしまうが生憎今日は出張をしている。帰ってくるのは今日の夜遅くだ。
それまでに、今日配られた残りの楽譜にも目を通さなければならないのだ。しかし今のパーカッションでは口笛吹いて働こうの最後まで通せるかどうかだった。
その時ドアチャイムが一回、鳴った。
その後も繰り返し何度も鳴るチャイムの音にパート練習を止め、玄関へ向かった。