たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
「お前たち、よくぞ無事に帰還してくれた。」
険しい顔をしていた城護先生から洩れた言葉は意外にも、刀剣男士の帰還を喜ぶ言葉であった。
その後も「負傷した者は?」とか「刀装を剥がれた者は?」など、城護先生はかなり心配をしていた。
「そんな事、今はどうでもいいんだ、主。部隊長として、今まで起こった事を報告するぜ」
しかし、刀剣男士を案ずる声を遮ったのは和泉守であった。
「俺達は歴史修正主義者を倒して本丸に帰還する際に奴、遡を発見した。それで…」
淡々と説明をしていく和泉守。しかしその顔には悔しさが滲み出ている。部隊長として責任を感じているのだろうか。
説明を終えると和泉守は一歩下がり城護先生に「申し訳ない」と頭を下げた。
「いやいや、謝らないでいいよ和泉守。お前はよく戦ったさ。それにまた次リベンジしてやろうじゃないか」
しかし先生の労いの言葉も耳に入らない様子であった。そのまま和泉守は通信室を後にする。