たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
「遡」
もっと早く走らなければ、もっと…もっと!
遡は焦っていた。計画ではあと二十分後に出航するロシア行きの商船に土方を乗せるはずなのだが、もしかしたら間に合わないかもしれない。
今、遅れたら変態上司に怒られはしないものの、めちゃくちゃ嫌味言われるだろう。
「こんな事だったらバイク持ってくるんだったな」
「おいてめぇ、そろそろ下ろしやがれ!」
突然耳に土方歳三の声が届く。あぁ、鼓膜が破れるかと思ったよ。どうやら薬が切れて起きたらしい。
「起きられましたか?もうすぐ港に着くので、もう少しだけ我慢してください」
「おいおい、ちょっと待て。一体どういう事なんだよ少しは説明しろ!!」