たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
「思い残すことがねぇだと!!てめえは本当にそれで良かったのかよ。土方さ…俺の為に一喜一憂して、精一杯尽くして、あげくの果てには、こんな所で俺の為に撃たれて死んで。お前本当に、、本当に、、これで良かったのかよ!!」
両目から流れる涙を堪えながら、市村に問いかける。すると彼は驚く程清々しい顔をしながら答えた。
「はい、これで良かったんです。悔いだって残ってないです。自分の人生は土方さんに捧げると決めましたから」
再び焦点の合っていない目でこちらを見る。暫くの間俺を見ると、「最期のお願いがあるんですが…」と申し訳無さそうに彼が言った。
「そろそろ、痛みすら麻痺してきました。自分の介錯をしていただけませんか?」
「分かった、引き受けよう」
意外な申し出ではあったが、引き受けた。今となって自分に出来ることは、市村を楽にすることぐらいしか無かったからだ。
刀を振り上げた時、市村が呟いた。
「一生お慕いしております、土方さん」
その言葉が終わると同時に刃を振り降ろす。そして、市村の全てが、終わった。